エイズ(AIDS)とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされ、重篤な免疫不全状態により生じた 日和見合併症 ※1 の状態をいいます。現在でも治療が難しく深刻な問題とされ、世界中で7,000万人以上が感染し3,000万人以上が命を失っています。HIVは細胞膜の表面にある CD4 ※2 というタンパク質を介して細胞内に感染する性質があり、免疫を担当する細胞に感染し破壊していきます。そのため、細胞の機能が低下し全身性の免疫不全状態に陥るわけです。
感染経路には、性行為、血液(輸血)、母子感染があります。感染者の血液を吸った蚊、手を触れる、身体に触れるなど日常的な接触では感染しません。セックス、アナルセックス、オーラルセックスの時に傷口があると、そこから精液や膣分泌液内に存在するウイルスが侵入し感染します。オーラルセックスでの感染は少ないといわれていますが、口腔内に傷がある場合には感染の可能性があります。
※1 日和見感染
がん、白血病、エイズなどのように、患者の免疫抵抗力の低下に乗じて感染し発病させるものを日和見病原体とよび、その病原体の感染を日和見感染といいます。
日和見感染症には、細菌性、真菌性、原虫性、ウイルス性など多数あり、エイズウイルスの感染によってみられる日和見感染には、カリニ肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス症などがあります。
※2 CD4
HIVの主な標的細胞はCD4+T細胞です。CD4分子自体がHIVの受容体となります。感染したCD4+T細胞の大部分は、HIVの細胞障害作用によって死滅します。感染CD4+T細胞の一部は、HIVの発現が抑えられ、持続感染となります。
感染者(キャリアー)は数ヶ月〜数年間無症状に経過し、この間CD4+T細胞は次第に低下していきます。このCD4+T細胞が正常値の数分の1である200個/μL未満になるとエイズを発症しやすくなります。
HIV‐1、HIV‐2
HIVは数年ほど前から独立に複数回チンパンジーから人に入り込みました。長い間孤立したアフリカの地域にのみ存在していましたが、1970年代になって先進国に持ち込まれ、性的接触などによって全世界に流行するようになったのです。
エイズの原因であるHIVは、1983年にフランスで患者リンパ節より初めて分離され(HIV‐1)、1986年にはHIVと類似しているが、血液学的に型の異なるウイルスが西アフリカのエイズ患者より分離されました(HIV‐2)。
現在日本で流行している型のほとんどはHIV‐1で、アフリカに棲息するサルの免疫ウイルス(SIV)に類似したHIV‐2よりも感染性、病原性とも強いと言われています。
エイズの症状 HIV感染の症状(経過)は、感染初期、無症候期〜中期、エイズ発症期の3期に分類されます。
感染初期(感染後2〜4週間)
感染後2〜3週でウイルス量は最大となり、この時期は発熱、咽頭の痛み、倦怠感、筋肉痛、皮疹といったインフルエンザ様症状を呈することがあります。症状は数週間続き自然に消失することもありますが、個人差により自覚症状のないまま無症候期に入ってしまう場合もあります。
無症候期〜中期(感染後約5〜10年)
感染後6〜8週で抗体が産生されてくると、ウイルス量は6〜8ヶ月後にある一定の量まで減少します。見かけ上、休眠状態になるわけです。この時期に治療を行わないで放置すると、ウイルスが増殖し免疫力の低下をきたします。その後、数年間続いた無症候期が過ぎ、中期に入ると再び発熱、倦怠感などの症状が出現してきます。
エイズ発症期
適切な治療が行われないと、HIV感染は進行し増殖を抑えられなくなります。その結果、免疫力低下がさらに進み、健常人では問題とならない日和見感染によってエイズを発症します。この時、食欲不振、下痢、寝汗、体重減少による衰弱、低栄養状態になります。
治療目標は、血液中のウイルス量をある一定量以下に抑え続けることであり、そのため強力な多剤併用療法(HAART)を行います。HIVは高度な変異能力を持っているため、ウイルスの増殖を十分に抑えないと耐性ウイルスが出現するだけでなく、次回からの治療が遂行されにくくなります。
多剤併用療法(HAART)とは、核酸系逆転写酵素阻害剤2剤とプロテアーゼ阻害剤もしくは非核酸系逆転写酵素阻害剤1剤による3種類の薬剤による併用療法です。
核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)
細胞内のリン酸化酵素で、最終的に三リン酸化物となり、天然基材であるデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)と競合的にHIV逆転写酵素(RT)活性を阻害します。細胞の活性度(状態)により抗ウイルス効果が異なり、レトロビル(AZT)、ゼリット(d4T)は盛んに分裂している細胞で、より強い効果を発揮し、エピビル(3TC)、ヴァイデックス(ddI)などは静止期の細胞で、より強い効果を示すとされています。
レトロビル(ジドブジン) 【100mg/カプセル 318.70円】
経口 200mg × 3回
ヴァイデックス(ジダノシン) 【25mg/錠 240.60円】
経口 125mg × 2回
ハイビッド(ザルシタビン) 【0.375mg/錠 696.40円】
経口 0.75mg × 3回
エピビル(ラミブジン) 【150mg/錠 968.40円】
経口 150mg × 2回
ゼリット(サニルブジン) 【20mg/カプセル 494.70円】
経口 40mg × 2回
ザイアジェン(硫酸アバカビル) 【300mg/錠 999.60円】
経口 300mg × 2回
コンビビル(ジドブジン・ラミブジン) 【300mg・150mg/錠 1,892.90円】
経口 1錠 × 2回
ビリアード(フマル酸テノホビルジソプロキシル) 【300mg/錠 2,048.90円】
経口 300mg × 1回
非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)
化学構造上、NRTIと大きく異なり細胞内で代謝を受けません。HIV‐1のHIV逆転写酵素(RT)活性をデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)と非競合的、特異的に阻害します。優れた抗HIV効果を示す反面、NRTIに比べ耐性を誘導しやすい点と、HIV‐1以外のHIV‐2などには無効という点があります。
ビラミューン(ネビラピン) 【200mg/錠 1,002.10円】
経口 200mg × 2回
ストックリン(エファビレンツ) 【200mg/カプセル 665.40円】
経口 600mg × 1回
レスクリプター(メシル酸デラビルジン) 【200mg/錠 338.90円】
経口 400mg × 3回
プロテアーゼ阻害剤(PI)
優れた抗HIV効果から、1995年以降、続々と開発され、現在の抗HIV療法の軸となっています。問題点として、服用の困難性(摂食の必要性、服用時間の厳守、大量の水分補給、大型の剤型、多量の錠数など)や副作用の発現頻度があげられます。
クリキシバン(硫酸インジナビル) 【200mg/カプセル 118.10円】
経口 800mg × 3回
インビラーゼ(メシル酸サキナビル) 【200mg/カプセル 168.90円】
経口 600mg × 3回
フォートベイス(サキナビル) 【200mg/カプセル 82.00円】
経口 1200mg × 3回
ノービア(リトナビル) 【100mg/カプセル 125.20円】
経口 600mg × 2回
ビラセプト(メシル酸ネルフィナビル) 【250mg/錠 161.90円】
経口 750mg × 3回
カトレラ(ロピナビル・リトナビル) 【133.3mg・33.3mg/カプセル 257.30円】
経口 3カプセル × 2回
レイアタッツ(硫酸アタザナビル) 【200mg/カプセル 761.80円】
経口 200mg × 2回
現代医学ではHIVを体内から完全に排除することはできません。しかし、多剤併用療法(HAART)によりエイズ発症を遅らせ、健常人と同じような生活や社会復帰が可能となっています。この治療は、前述しましたように、ウイルスの増殖を抑え続けなければなりません。
つまり、服薬がしっかり行われないと効果がなくなるだけでなく薬剤耐性ウイルス出現の機会を与えることになり、有効な薬剤を失うことにつながります。そのため、この治療法では服薬の継続の良否が治療の成果を左右することになります。
性交時のほんのわずかな出血から感染を防ぐため、コンドームの使用は基本中の基本となります。また、感染率の高いアナルセックスを避けることや、感染率は低いとされているオーラルセックスの時にもコンドームを使用するべきです。
もし前述の症状が疑われる場合、重要なことは早期発見です。検査は感染後2〜3ヶ月後から可能です。しかし、血液中に抗体ができるまで約6〜8週間かかるため、それまで偽陰性になることがあります。この期間は正確な結果が出ないだけでなく、大切なパートナーに感染させてしまう可能性もあります。
もしかして?心配なまま放っておくのは一番良くありません。まず検査可能な時期になったら、自宅で簡単、匿名でできる性病検査 STD チェッカー
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現在、若年層を中心に流行しているクラミジア感染症など、他の性感染症に罹患しているとHIV感染率は3〜5倍になります。日頃からその他の性感染症に罹らないように心がけましょう。
また、献血時の検査で完全にウイルスを排除することは困難であり、献血者のモラルに頼るしかありません。検査目的の献血は絶対やめましょう。
血液製剤の安全性
1978年から非加熱血液凝固因子製剤が使われ、多くの血友病患者がHIVやHCVに感染してしまいました。1985年に加熱製剤が承認されましたが、その後も非加熱製剤の在庫品が使われ、さらに感染者が出てしまったという報道は記憶に新しいところです。
1985年から献血血液はすべてHIV抗体検査が行われ、陽性血液は破棄されるようになりましたが、ウインドウ期の血液を見落としてしまうという新たな問題が浮上してきました。
この問題解決のため、日赤では2000年4月から、核酸増幅検査を併用し、HIVの検出を行うようになりました。これによりウインドウ期は短くなりましたが、まだ11日間前後のウインドウ期が残っているため、輸血を受ける方には少ないながら感染のリスクがあることを理解していただく必要があります。
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◆◇男性編◇◆
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HIVに感染していれば他の性感染症に罹患している可能性も考えられます。
簡単な内容の検査(男性では尿検査、女性は膣分泌液検査)を追加することで、ひととおりの安心を得ることができます。
◆◇Type E◇◆
若年層で急増中のクラミジア感染症、淋菌感染症の他、医療環境の整った本国でも増加中のHIV感染症/エイズも検査項目に含まれています。
報告されているHIV感染者は氷山の一角に過ぎません。疑わしい、身に覚えのあるときはこちらのタイプをお勧めします。
◆◇Type F◇◆
男性用の追加項目に加え、女性特有の膣トリコモナス症、外陰膣カンジダ症も含んでいます。
女性の場合はこのタイプで検査をしておけばひととおりの安心を得ることができます。
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